研究推進

中近世の駿河における日蓮教団の展開
西山本門寺史料悉皆調査に基づいて

本間 俊文

プロフィール

仏教学部 宗学科 准教授:本間 俊文 Shumbun Homma

博士(文学)
中世における日本仏教史、特に日蓮教団の歴史的展開について研究しています。寺院に所蔵される史料の調査・整理・読解作業を進め、人々の歩んできた足跡を紐解いています。
好きな食べ物はからあげ。

寺院史料悉皆調査に基づく日本仏教史の解明

静岡県富士宮市西山本門寺史料の調査研究

西山本門寺史料の様子
目的
西山本門寺史料を手がかりとした日本仏教史の研究

静岡県の日蓮系本山格寺院の一つである西山本門寺所蔵の寺院史料を対象とした悉皆調査を実施し、西山本門寺史料の全容を明らかにすることが第一の目的です。そして、調査で得られた成果、特に中・近世史料を手がかりに、多くの課題を残す西山本門寺史について考察し、歴代住持の事蹟や伽藍の変遷、公家や武家社会との交流や仏教儀礼など、駿河における日本仏教史の一端を解明することが第二の目的です。

内容
西山本門寺初の悉皆調査の実施

まず、西山本門寺史料について徹底的に隈なく調査を行います。実は、これまで西山本門寺史料の調査は網羅的に実施されておらず、本格的な悉皆調査を行う点がこの研究の学術的な独自性です。そして、調査成果は「西山本門寺史料目録(仮)」として目録化し、その目録に基づいて史料の翻刻を進めます。

展望・成果
膨大な寺院史料から日本仏教史を紐解き、飛躍的な研究推進へ

これまで多くの課題を残してきた西山本門寺史研究が着実に進展し、中近世駿河の日蓮教団史に関する空白を埋めることが可能になると思います。また悉皆調査の成果は、史料保存の観点から所蔵者にとっても大きな利益となります。さらにこの調査で得た史料データは、大寺院における僧院活動の実態を伝えるモデルケースとして、今後周辺分野の研究への波及効果が期待されます。
史料データが膨大なため、現時点で公表できた研究成果はまだほんの一部です。今後データを一層活用して、順次研究成果の公表を目指します。また、将来的に「西山本門寺史料目録(仮)」を刊行することによって、西山本門寺史料の全容を社会に広く周知させ、より一層の研究推進につなげていきたいと考えています。

  • 西山本門寺史料の様子

    西山本門寺史料の様子

  • 本堂内陣天井画

    本堂内陣天井画

  • 西山本門寺本堂

    西山本門寺本堂

キーワード

#仏教学部、#宗学、#日蓮、#日蓮教団史、#日本仏教、#西山本門寺、#史料調査、#中世

研究者からのメッセージ

寺院史料の調査を通じ、当時の人々が歩んできた足跡を明らかにすることは、単に歴史の解明につながるだけではなく、これから私たちが歩むべき未来の指標となるものです。そういった使命感のようなものを感じながら、研究に取り組んでいます。
寺院史料の調査は地道なものですが、古文書を読んでいると、当時にタイムスリップしたような感覚になるところがとてもおもしろいです。是非興味を持っていただけると嬉しいです。

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