研究推進

英語で学ぶ日本史の効果的指導に関する研究
語学力向上と国際的視野育成の観点から
―語学教育と海外の日本史研究を組み合わせて新たな教材開発へ―

亀井先生

プロフィール

データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授:亀井ダイチ 利永子  Rieko Kamei-Dyche

Ph.D. in History (University of Southern California)
専門は日本史、特に平安後期から室町時代までの中世だが、史料の英訳などを通して歴史用語の翻訳の問題や、英語教育にその研究関心を広げる。動物好きで犬にモテる。活字中毒で、調理中や入浴中も本を手放さない。

日本の大学において、英語で日本史を教授するための効果的な指導法の分析調査を通し、教材開発の基盤形成に繋げていく

海外で、あるいは外国人と日本史について英語で議論が出来るか、その力をつけるためには何が必要なのか

研究に用いる文献
目的
「英語で日本史を学ぶ」ことの意味は?

英語で日本学の授業を行う授業はさまざまな大学で実施され、その数も増えつつあるのですが、その多くは留学生向けのものです。この研究では、日本人大学生を対象に、英語という外国語で母国の歴史である日本史を教える、という授業を通して、学生の「語学力向上」と「国史という枠を超えたグローバルな視点を養う」という二つの観点から、その指導法および教育的効果を検証し、新たな教材開発の基盤を形成していくことを目的としています。

内容
英語という壁が、新しい視点を養っていくきっかけに

外国語としての英語教育には、実践・理論共に相当な研究の蓄積があり、また英語圏における日本史研究も、戦後以降さまざまな観点から活発に研究が行われてきています。この研究の特徴は、それぞれ別個のものとして発展してきた語学教育と、海外の日本史研究の双方を組み合わせている点。日本史に関する英語の文献調査や比較対象としての日本国外における学部生向けの日本史教育の実態調査を行い、そこから得られた知見を生かして、学生の語学力向上と日本史に対する新たな視点を提供するための効果的指導法を、授業実践を通して検証していこうとしています。

展望・成果
選ぶ言葉一つで「歴史」は変わってしまうことを知る

歴史用語に関しては時代による差異もあり、一般的に紹介される「この言葉は何々」という単純な言葉の置き換えでは、必ずしも通用しません。そしてその気づきが単語の意味の理解の深化、語彙の増加と共に、歴史の動きや歴史認識の違いなど、より広い視野から理解させることに役立つことが現時点までのヒアリングと文献調査から分かってきています。また海外での日本史の教育・研究動向などを導入することの効果についても、徐々に明らかになってきています。
研究成果は論文化するほか、授業で取り上げている英単語の問題など、ほんの一部ですが既に大学のSNSにも掲載して学外にも発信しています。グローバル化が進み、職場や日常生活の場で文化背景を異にする人々と共生することが当たり前の世界になりつつあるなかで、本研究は英語力と世界における日本史に関する意識を同時に向上させるという点から、地域の海外への発信力強化や異文化交流、また語学の資格では唯一の国家試験である全国通訳士を目指す方へ向けての社会貢献もできるのではないかと考えています。

  • 研究の様子

    文献調査中の様子

  • 研究成果をSNSへ

    SNS発信した研究の一部

キーワード

#日本史、#英語、#グローバル、#語学力、#翻訳、#日本文化、#海外発信、#テキストマイニング、#地域連携、#pedagogy、#言語教育、#留学生

研究者からのメッセージ

日本史が教えられているのは、日本国内だけではありません。「日本史」を「英語」で学んでいくことによって、国外では日本の歴史がどのように表現され、論じられているのかを意識することになりますが、それは歴史用語を始め、言葉の使い方への理解を深めることと密接に結びついています。
単なる外国語として英語を学ぶという意識から、借り物ではない自分自身の言葉で語れるよう、間違いを怖れずに色々チャレンジしていってほしいと思います。

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