研究推進

方言の体系的記述

白岩広行

プロフィール

文学部 文学科 准教授:白岩 広行 Hiroyuki Shiraiwa

専門は日本語諸方言の記述研究です。1982年生まれ、福島県出身です。学生時代は大阪で過ごし、新潟県の上越教育大学を経て2017年に立正大学に着任しました。日本各地あるいは南米の日系社会で、様々な方のご厚意に甘えながら調査をしてきました。今はそのご恩を世の中にお返しする方法を考えています。

方言を記述した報告書
目的・内容
「これを読めばその方言が話せるようになる」という方言の教科書づくり

「これを読めばその方言が話せるようになる」という記述(秩序だった説明)を整えるのが最終的な目的です。日本の各地には、お互いに話が通じないほど多様な方言があります。それらの方言の言語としての仕組みを誰にでもわかる形で説明したいと思っています。方言を知ることで、地域の人々がことばに込めた気持ちを知ることができるようになります。それは、標準語では伝わらない気持ちかもしれません。

会話資料、辞書、文法書の3点セットを整備するのが具体的な仕事です。英語や中国語などの外国語を勉強するときの教科書にも、会話例、単語、文法解説の3つがまとまっているはずです。方言にも同じような3点セットがあれば、教科書を読むように、言語としての全体像を体系的に理解することができます。昔ながらの方言を話す人は少なくなっていますが、その方言を次世代に残すことができますし、世界中の誰でも知ることができるようになります。

展望・成果
東京の大学で福島の方言を教えてみる

研究はまだまだ道半ばですが、自分の出身地である福島県北部の方言の教科書『基礎から学ぶ福島語』を試作しました(https://researchmap.jp/shiraiwa-hiroyuki/others)。この教科書をもとに、本学の学生に福島の方言を教える授業に取り組んでいます。国内の異言語ともいえる方言を知ることで、日本の地域文化の多様性と豊かさを知ってほしいと思います。教えてみることで、うまく説明できないことがたくさん見えてきました。責任をもって説明できるよう、今後も真摯に研究を進めたいと思います。

  • 学会での発表

    学会での発表

  • イントネーションの分析

    イントネーションの分析

  • 東北方言の助詞「さ

    東北方言の助詞「さ」

  • 方言の教科書

    方言の教科書

  • イントネーションの解説

    イントネーションの解説

  • 田舎の畑

    田舎の畑

研究が生み出した成果・効果による社会への応用や実装の可能性など

方言に関する取材や講演の依頼には、できる範囲で前向きに応じたいと思っています。いろいろな方に教えていただいた話を、世の中にお返ししたいと思っています。

キーワード

#日本語、#言語、#方言、#文法、#福島県

共同研究者

国立国語研究所の消滅危機言語・方言に関するプロジェクトで共同研究員を務めており、多くの研究仲間と連携しています。

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