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2025/11/18
仏教・内藤特任助教が第23回日本認知心理学会優秀発表賞を受賞

第23回日本認知心理学会優秀発表賞の選考結果が公表され、仏教学部の内藤優太特任助教が優秀発表賞【新規性評価部門】を受賞しました。

 

本賞は,日本認知心理学会の年次大会において優れた発表をした研究者を表彰するもので、認知心理学にかかわる会員の研究を奨励し,この分野の研究の発展に寄与することを目的としております。

内藤特任助教は、東北大学大学院文学研究科在籍時に申請した研究発表が、【新規性評価部門】の優秀発表賞を獲得しました。

 

以下,受賞研究の抄録と推薦理由です。

 

【新規性評価部門】

受賞者(所属):内藤 優太(立正大学仏教学部特任助教),河地 庸介(東北大学大学院文学研究科)
発表題目: 重心の高さが重量感覚に与える影響

発表要旨: 物体の大きさが同じでも,重心位置の違いで主観的重量が変化し得る現象は,重い荷物をリュックサックの上部に配置すると軽く感じられる等の経験的知識として共有されているが,体系的な検討は皆無に等しい.そこで実験1では,158g–242gの錘を用いて,上重心または下重心の比較刺激を作成し,200gの下重心の標準刺激を基準として主観的等価点を算出した.その結果,上重心の刺激は下重心の刺激より軽く知覚されることが示された.実験2では,比較刺激の重心位置を上・中・下の3段階に操作し,下重心の標準刺激と比較してより重く感じられる刺激を選択するように求めた.その結果,重心が高いほど軽く感じられる一方,一定の高さを境に錯覚が減衰する可能性が示された.先行研究が物体の大きさが重量知覚に及ぼす影響に着目してきたのに対し,本研究は,大きさが一定でも重量感覚を変容させる要因として物体の重心位置が重要であることを示した.

選考理由: 「重い荷物をリュックサックの上に配置すると軽く感じる」という日常的観察を契機として,物体の重心位置が重さ弁別に及ぼす影響を実験心理学的手法により検討した研究である.従来のsize-weight illusionでは物体の大きさを視覚的に認識する必要性が指摘されていたが,本研究では閉眼状態であっても重さ弁別時(実験者が参加者の掌に錘を置く)に,低い重心の錘の方が高い重心の錘よりも重く知覚されることを示した.今後検討すべき点も少なくないが,感覚センシングの一端を明らかにした研究と言え,本研究は新規性部門の優秀発表賞にふさわしいと判断した.

 

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