研究推進

写真で高齢者のウェルビーイングを高める

髙岡祥子

プロフィール

心理学部 対人・社会心理学科 特任講師:髙岡 祥子  Akiko Takaoka

京都大学大学院文学研究科単位取得退学 博士(文学)
専門は実験心理学,比較認知科学。心理学は,読心術ではなく科学的に心を測る様々な手法です。心理学の手法を使って社会に役立つ研究を行っていきたいです。イヌが好き。

2.5次元写真の触知を伴う鑑賞の様子
目的・内容
2.5次元写真で”被写体に触れる”

高齢者がいきいきと健康的に暮らすことは,超高齢化社会を迎えた日本にとって重要な課題です。健康でいるためには,単に病気でないだけでなく,心身共に良好な状態であること,つまり,ウェルビーイングを高めることが大切です。私の研究では,印刷会社と共同研究を行い,写真を活用して高齢者のウェルビーイングを高める検証を行いました。
研究には,2.5次元写真と呼ばれる特殊な写真を用いました。普通の写真は表面がツルっとしていますが,2.5次元写真は被写体を表現する絶妙な凹凸がついています。つまり2.5次元写真は,”被写体に触れる”という体験を提供します。家族もしくはペットの2.5次元写真を毎日手で触って鑑賞してもらうことで,高齢者のウェルビーイングを高める効果を検証しました。

展望・成果
日常の些細な行為がウェルビーイングを高める

研究の結果,大切な家族やペットの写真を1か月鑑賞することで,高齢者の主観的幸福感や睡眠の質が高まることが分かりました。特に,2.5次元写真で大切なお孫さんやペットの写真に触れることで,驚きや嬉しさを感じやすいことも分かりました。
健康のためにウェルビーイングを高めることは大切ですが,特別な方法をわざわざ取り入れるのは難しいでしょう。大切なお孫さんやペットの写真を日常的に鑑賞したり手に取って写真に触れるという日常の些細な行為が,高齢者のウェルビーイングを高める効果があることが分かったことは非常に意義があると思います。

研究が生み出した成果・効果による社会への応用や実装の可能性など

2.5次元写真は,通常ならば触れることが出来ない被写体に”触れる”という特別な体験を提供します。2.5次元写真の効果をさらに検証し,将来的にはペットロスの悲嘆を癒す効果なども検証していきたい考えています。

キーワード

#ウェルビーイング #認知症予防 #産学連携

共同研究者

東北大学 加齢医学研究所 教授:瀧 靖之 Yasuyuki Taki
人間環境大学 総合心理学部 教授:高野 裕治 Yuji Takano

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