研究推進

日本の主要都市における二酸化炭素(CO2)の排出責任についての比較研究 -Comparative Study on Changes in Responsibility for Carbon Dioxide Emissions across Major Cities in Japan-

村上加枝

プロフィール

地球環境科学部 環境システム学科 特任准教授 村上 加枝 Kae Murakami

・学歴
平成24年に広島大学大学院社会科学研究科で修士取得、令和3年に広島大学大学院国際環境協力研究科(IDEC)で博士号を取得
・職歴
地方自治体と国で環境行政と実地業務に従事、JICA青年海外協力隊で中米・コスタリカで環境教育活動
・趣味や好きなこと
犬と一緒に散歩、ドライブ

目的・内容
産業と消費の構造が外部に依存する割合が高い主要都市における二酸化炭素(CO2)の排出状況を解析して主要都市が負うべき排出の責任を考察します。

都市は産業やエネルギー生産を外部に依存する割合が高く、消費する財やサービスの多くを外部から調達しています。
都市で消費する財やサービスには生産時に消費したエネルギーが内包されており、都市はその内包されたエネルギーを間接的に消費しています。
このため、都市における二酸化炭素(CO2)排出量の削減は、直接的なエネルギー消費だけではなく、間接的なエネルギー消費を考慮する必要があります。
こうした都市の特性を理解するため、消費ベース排出量(Consumption-based emissions)を含めた4つの炭素算定方法(System boundary)を採用し、二酸化炭素(CO2)排出責任の変化を考察します。

展望・成果
気候変動対策は、生産側だけではなく消費側にも二酸化炭素(CO2)の削減を求めることが重要です。

都市においては、エネルギー供給や産業構造などの長期的な変化により、生産ベースの排出量は大きく影響を受けており、都市特性と二酸化炭素(CO2)の排出構造とは密接な関係があります。
しかし、消費ベースの排出量では大きな変化はなく、これには域外で生産した財やサービスを消費して間接的にエネルギー消費した排出量が大きく関わっています。
これは都市では消費行動が変化をせず、域外からの財やサービスに依存していることを示唆しています。本研究で扱った消費ベースの排出量は,生産側に二酸化炭素(CO2)の削減を求めるだけではなく,消費側にCO2削減を求めることの重要性を示しています。

キーワード

#消費ベース排出量、#炭素会計、#二酸化炭素排出責任、#気候変動対策
#Consumption-based emissions, #Carbon accounting, #Mitigation responsibilities, Climate change mitigation

共同研究者

広島大学大学院人間社会科学研究科 教授 金子 慎治  Shinji Kaneko(広島大学理事・副学長)

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