研究推進

空思想の中国的展開

中井本勝

プロフィール

仏教学部 仏教学科 特任准教授 中井 本勝 Honsho Nakai

立正大学大学院文学研究科仏教学専攻博士後期課程修了 博士(文学)
中国仏教の思想、とくに隋末から唐初にかけて活躍した三論宗の嘉祥大師吉蔵(549-623)の教学について研究をしています。
趣味は読書。いろいろなジャンルの本を買っておいて、気が向いたときになんとなく読むのが好きです。

三論宗発祥の地・棲霞寺(南京市)
目的・内容
「行く人は行かない」の衝撃

「行く人は行かない」というのは、わたしがまだ大学三年生だったころ、図書館で仏教関連の書物を読んでいたときに出会った、インドの僧侶であるナーガールジュナ(150-250頃)の主著『中論』の言葉です。これは言語が本来的にもつ矛盾をついたもので、空思想を理解するときに必要な考え方であり、ものすごい衝撃を受けました。この言葉に出会って以来、ずっと「空とはなにか」ということを考えつづけています。

展望・成果
三論宗・嘉祥大師吉蔵の空思想理解のポイント

中国では、『中論』・『百論』・『十二門論』という三つの空の理論書(三論)を中心とした三論宗が成立しました。その三論宗の教学を大成したのが嘉祥大師吉蔵です。わたしは吉蔵がどのように空思想を受容し、そして展開させていったのか、ということを研究しています。
吉蔵は当時の中国仏教界において博覧強記で知られていて、数多くの仏典を駆使して著作を撰述した人物ですが、三論宗に伝わる空の理解を逸脱することはありませんでした。あくまで三論宗の伝統のなかに身を置きながら、さまざまに説かれるインド仏教の思想を取り入れ、三論教学として再解釈して提示したのです。

キーワード

#仏教学部、#仏教思想史、#空思想、#中観思想、#仏陀観・仏身論、#中国仏教思想、#三論教学

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